My good birthday with Carlos in Sagrada Família
言わなかったけど、最高の誕生日だったよ、カルロス

2012.9.20 / Spain(Cambrils~Barcelona~Castelldefels) 本日159km移動(自転車0km走行) : Total 40182km走行
天気:曇 自転車折りたたみ:1 ネット:1
朝飯→シリアル 昼飯→豪華コース飯 夕飯→ハンバーガー&ナチョス / 宿→カルロス姉宅

(English)
 Today we went to Barcelona by Carlos's car. The aim of visiting Barcelona is to see Gaudi Building, especially Temple expiatori de la Sagrada Família. In fact, I have been to Sagrada Familia once. But that time I couldn't see inside of Sagrada Familia. So I was looking forward to seeing inside today.



 さて、いよいよカルロスとのお別れ日。預けていた荷物を全て車に詰め込み・・・え?車?そうそう、お別れ日といっても、今日はマルマル一日オイラに付き合って遊んでくれるんですよ。遊び終わった夕刻に、車から荷物を降ろしてもらってお別れなんです。で、本日カルロスと向かうはバルセロナ。

 お目当ては、もちろんサグラダ・ファミリア!

 20年前、初めてスペインを訪れた時、連れて行ってもらって二番目に衝撃だったのが、サグラダ・ファミリアだった(一番の衝撃は、生フラメンコでした)。一応、ガウディって名前だけは知っていたけれども、その頃は、安藤忠雄さんを知って、なんとなく建築に興味を持ち始めた頃で、ガウディがどんな建物を作る人なのかとか全然知識を持たず・・・で、連れて行ってもらった、サグラダ・ファミリアのたたずまいに、圧倒されてしまったのですよ。

 「こ、こんな建築が世の中に存在するとは・・・」

 今まで見てきた建築物の常識を打ち破る異質なものだった。そして、この異質感は、オイラの心の常識をも打ち破ってくれたような気がする。「こういうものも許容される」そういう許しを、サグラダ・ファミリアはオイラに与えてくれた。

 ちなみに、オイラの奇岩好きは、この時のサグラダ・ファミリア体験が元になっている気がする。

 そんなサグラダ・ファミリア。皆さんもご存知かと思いますが、これ、ガウディが生きている間には完成させることが出来ず、ガウディの死後も、ガウディの設計に従って、遅々としているが建築作業が行われているいまだに未完の建物。(一応、ガウディの没後100年にあたる2026年の完成を目指しているらしい)

 未完ということで、20年前とはその姿が変わっているワケですよ。なので、サグラダ・ファミリアは一度来たからもういいや、という建物ではない。前回見たからこそ、今回も見ておきたい建物なのだ。

 しかも、20年前来た時は、まだ内装工事が終わっていない段階で、中には入れず、外から眺めるだけだった。もちろん、外から眺めるだけでも、素晴らしいものだったのだが、概観が素晴らしすぎるだけに、どうしても中に入りたくてしかたがなかったのを覚えている。

 そんな、サグラダ・ファミリア、2007年に天井が架かり、内部がほぼ完成するとか、2010年11月のローマ法王の訪問にあわせてとりあえず見れる状態になり、公開されるようになったとの噂を聞きまして。

 おお、今回の旅で、あのサグラダ・ファミリアの内部が見れかも!と、今回のスペイン訪問で、一番楽しみにしていたこととなっていたのです。

 で、カルロスの運転する車に乗って、バルセロナ市内に突入。中心部に向かう途中、建物と建物の間に、ニョキッと相変わらず異質感のあるサグラダ・ファミリアの塔の天辺が見えてきた。

 うひょー、テンション上がりまくり。

 曇り空なのがビミョウ。カルロスが、「曇りだね、残念」と言うのだが、オイラ的には、今回は、内部鑑賞がメイン目的なので、まったく問題なし。

 近くの地下パーキングに車を止め、いざサグラダ・ファミリアへ。中へ入るためのチケット売り場はすごい行列。その列の最後尾に並んで待っている間、キョロキョロとサグラダ・ファミリアを眺めまくるオイラに、カルロスが「まだチケットを買えるまでには時間がかかりそう。並んでいてあげるから、周りをグルっと巡って写真を撮ってきなよ」と。サンキュー、カルロス。こういうさりげない優しさがカルロスの魅力なんだよなぁ・・・サラもこういうところに惚れたに違いない。

 で、周囲を歩くことになったサグラダ・ファミリア・・・いやぁ、今回は内部鑑賞が目的、といいつつも、やっぱり外観もスゴイ。写真を撮りまくっていたら、思った以上に時間が経ってしまい・・・並んでくれていたカルロスの元に戻った時には、もう、切符を買う直前。

 さて・・・塔の上まで登れる鑑賞券までカルロスに買ってもらっちゃって・・・そうそう、このスペイン居候生活、ホントに全部甘えっぱなしなんですよ。オイラが財布を開いたのは、昨日買い物に連れて行ってもらって、長袖シャツを買った時だけ。いやいや、カルロスには感謝感謝です。もちろん、4年後オイラが日本に帰って、カルロスとサラが日本に来た時には、全部オイラが面倒みますから~。

 で、足を踏み入れたサグラダ・ファミリアの内部・・・

 ただ、もう、圧倒されました。

 世界中でいろんなものを見てきたけど、人工物で、ここまで圧倒されたものって、たぶん・・・ない。自然物は、人間の想像力なんて遥かに越えたものばかりなんだけど、人工物って、スゴイなぁとか、カッコイイなぁとか、素敵だなぁと思うものはあったとしても、想像を遥かに超えるようなものは、なかなかないのですよ。そこは、やっぱり同じ人間が作り出すものですから。

 が、このサグラダ・ファミリアだけは別格。

 ガウディって人の頭の中だけは、オイラの想像力がおよびもしない世界。

 公開されているとはいえ、内部もまだ未完成で、ステンドグラスがまだ貼られていない窓があったり、柱の元で作業をしている人たちがいたりするのだが・・・

 でも、もう、すでに圧倒的な空間だった。

 ガウディ建築の特徴である柔らかい曲線が心地よく、中で立っていると、教会が、全てを包み込んでくれるような錯覚に陥る。

 これはまさに、神の建物だ。

 従来の教会とは異なり、一見ポップに見える内部空間。しかし、この、空間と溶け合い、自らの自我が開放されていく感覚は、神の空間でしか起こりえない現象。オイラは、その感覚を、パタゴニアのフィッツロイをはじめとして、自然景観の中で幾度かだけ体験してきた。

 それに似た感覚を、ここでも味わえるとは・・・

 たくさんの観光客が居る中ですら、この感覚。もし、一人でここでたたずんでいいよ、と言われたら、もう、ヤバイ。きっとあちらの世界にトリップしてしまうことでしょう。

 それにしても、なぜ、ここで、あの自然景観でしか味わえなかった体験が、人工物であるこのサグラダ・ファミリアで出来てしまうのだろう・・・不思議に思ったのだが、その理由が・・・ここ、サグラダ・ファミリアの内部の一角にある<Gaudi&Nature>と名づけられたミュージアムに入って判明した。ガウディは、基本的に自然物からインスピレーションを受け、それを上手に建築物に込めることができる人だったのだ。つまり、自分の頭の中で作り出すものではなく、自然物を造形にトランスレートする能力を持った人だったということだ。しかも、ガウディは、そのトランスレート能力が抜群に優れていた。自然物をディフォルメした造形を作りながらも、自然物の圧倒感を損なわない。いや、むしろディフォルメすることで、自然物の圧倒感をより強められるという稀有な表現力の持ち主だったのだ、と思う。

 サグラダ・ファミリア内部には、二つのミュージアムがあるのだが、<創造>とか<クリエイティブな人の頭の中>に興味がある人にとっては、この<Gaudi&Nature>ミュージアムが、断然面白いと思う。ガウディの発想の種がそこらじゅうにばら撒かれている、素敵なミュージアムだった。

 さて、13時半になったところで、いよいよサグラダ・ファミリアの塔の上へ。塔の上へ上がるのは、人数制限があるため、エレベーターに乗れる時間が入場券を買う時点で指定されるのですよ。で、そんなエレベーターに乗り込み、一気に塔の上へ。

 上部もこれまた、興味深い。建築途中の現場を生生しく見ることが出来るし、上部の塔の素敵な彫刻造形を間近に見ることができる。さらに、カタツムリをモチーフにしたと思われる螺旋構造の階段デザインがこれまた、ワクワクさせてくれるし。いやぁ、全てにわたって、手が抜かれていない。細かいところまで作りこまれているこの緻密度。いやぁ、大好きだ、このこだわり。

 サグラダ・ファミリアは、絶対中を見たほうがいいですよ。わざわざスペインまで足を運んでいるのに、外から見ただけで満足っていうのは、もったいなさすぎ。

 さて、大興奮のサグラダ・ファミリア鑑賞の後、その興奮をひきずったまま、バルセロナの街歩き・・・ふふふ、バルセロナの街にある、ガウディ建築は、サグラダ・ファミリアだけではない。実は、そこらじゅうにガウディの建築物があるのですよ。カルロスが「昼飯はバルセロナに住んでいる友達と一緒に食べる約束をしているから」ということで待ち合わせ場所に向かう途中に歩いた<パセオ・デ・グラシア>通り沿いには、<カサ・ミラ>と、<カサ・バトリョ>という建物が。

 「う~ん、これもいい・・・」

 ガウディ建築は中も面白いッスからね。ここも、外から眺めるだけではなく、中も見てみたかったのだが・・・これ以上カルロスに甘えちゃうのも、なんですし、今日のところは、サグラダ・ファミリアの衝撃で胸がいっぱいいっぱいで、これ以上衝撃を受け入れられないってのがありまして。ここは、外から見るだけで、まぁ、よしとする。

 さて、待ち合わせ場所で、カルロスの友人であるハイメさんと、彼女であるスザーナさんと合流。「さて、ランチだ」と、連れて行ってもらったのは、かなり高そうなお店。「奢りだから、気にせず好きなものを頼んで」と・・・すまんです、では、ゴチになりやす。

 で、ランチを食べながら、ハイメさんたちの仕事の話などを伺う。スーツを着てネクタイしているスペイン人は初めて見たから・・・気になっちゃって。そんなお二人は、日本で言うなら、司法書士のような仕事をしているらしい。スペイン人としては、メッチャ忙しい生活を送っているらしく、カルロスも会うのは久しぶりとのこと。で、そんなお二人、バルセロナでの住まいが、なんとあの<カサ・バトリョ>の目の前のビルの最上階だと聞きまして。思わずオイラ「家賃、おいくらなんですか?」って聞いちゃった。旅人として「その自転車いくら?」って聞かれるとビミョーだっていうこと、自身が体験しているのに・・・なんか、やっぱり、こういう質問って、思わず口から出てしまうもんなんだな。案の定、ハイメさんは、ちょっと困った顔をして「まぁ・・・高いよ」と。ええ、オイラも、自転車の値段を聞かれたら、そう答えてます、ハイ。

 ランチが終わったらまた仕事というお二人と別れ、オイラたちは、次なる目的地に。と、ここで、カルメンおばちゃんからメールが届いたというカルロス。そのおばちゃんからのメールに添付されていた写真を見せてくれた。そこには、パンにチョコで描いたキリスト画が・・・うん?これ、どこかで見たことがあるぞ・・・そう、今話題騒然となっているあの、素人が修復しちゃったキリスト画ですよ。「私も描いてみたの」というコメント付のカルメンおばちゃんメール。おちゃめなお母さんです。そうそう、この素人修復のキリスト画、スペイン北部にある教会だったんですよ。そういえば、行けばよかったなぁ・・・ちなみに、修復前は無料で公開していたこのキリスト画、今は、人気がでちゃったため、1ユーロお金を取るようになっているそうです。ちゃっかりしてるな、スペイン。

 さてさて、今は、バルセロナ観光。といっても、ええ、もちろん、次もガウディです。バルセロナはガウディ一色で攻めることにしたんです、今回は。で、向かったのはグエル公園。ここ、前回行きたかったんだけど、バルセロナの街外れにあるこの公園は、慌しく周った前回のバルセロナ観光では訪れる余裕がなくて、断念しちゃったんですよ。

 今回は、カルロスの車があるので、ひとっ走りでグエル公園へ。しかし・・・ここには、駐車場がなかった。みんな、バスでくるみたいで、バス専用の駐車場はあるのだが・・・自家用車は停められない。しょうがないので、ちょっと離れたところに路駐。

 さて、グエル公園。ここもガウディーセンスが溢れる場所で、テンションあがる場所だったんですけど・・・今日は、サグラダ・ファミリアで、興奮エネルギーを使い果たしてしまったからか、なんとなくノンビリムード。いや、そもそも、ここ公園ですから。ゆったりまったりするための場所ですから、心がノンビリしてくるのは、当然か。そうなんですよ、ガウディの建築がすごいのは、ガウディセンスをふんだんにちりばめながらも、ちゃんと目的にあった空間を作り上げているってことなんです。教会であるサグラダ・ファミリアでは神に包まれるような感覚を提供し、公園であるグエル公園では、落ち着ける感覚を提供。

 建築ってことに限らず、モノを作る<クリエイティブ>ってことに関して、この人から学ぶべきことは、まだまだある。20年経って、またガウディに戻ってきちゃった。この人が出発点であり、辿り着いたのもこの人だった。

 さて、あっという間に夕方になっちゃったので、カルロスの車に乗って、カルロス姉のイレネ姉さん宅のあるバルセロナの隣町、カステルデフェレスへ。カルロスとはお別れなんですけど、今度はイレネ姉さんにお世話になっちゃう、という流れになってまして。

 さて、到着したイレネ姉さん宅では、イレネ姉さんの彼氏のビクトルがオイラのチャリ旅のことを気に入ってくれて、テンション高く迎えてくれた。ふ~、気に入ってもらえてよかったよ。それにしても、スペインの人たちは、不思議なくらい皆オープンですよ。このラテンノリのオープンさ、大好きですけどね、オイラは。

 そして・・・

 ここで、カルロスとはお別れ。ホント、甘えまくっちゃったよぉ、カルロスには。どんなに言葉を重ねても、感謝の気持ちを表しきれない・・・4年後オイラが日本に戻った時には、絶対遊びにきてちょーだい。今度はオイラがもてなしまくりますから。

 アスタ・ルエゴ(また会おう)、カルロス~

 名残惜しく、カルロスが車で去っていく姿を見送って、イレネ姉さん宅に戻ると、ビクトルがこれからサッカーの練習に出かけると言う。「ヨシは、イレネにおいしいハンバーグ屋に連れて行ってもらって、夕飯を食べてて。練習が終わったら、合流するから」と、言って出て行ったビクトル。

 ということで、オイラとイレネねえさんは、ちょっと離れたところにある、絶品ハンバーグ屋さんへ行くことに。せっかくだから、ちょっと運動をして小腹を減らしていきましょう、ということで、イレネ姉さんはスケボーで、オイラはチャリで向かうことに。夜の海岸通りを走って辿り着いたハンバーガー屋、いやぁ、話どおり絶品でした。パテが、ファーストフードの薄っぺらいやつじゃなくて、手ごねのボリューム感たっぷりあるやつ。しかも、豪華に肉のパテの上にフォアグラまで乗せてある。さらに、つけあわせで、ナチョスまで頼んでくれて・・・ふおお、懐かしのメヒコの味・・・しかし、なぜ、オイラの好物がメヒコ料理だってことを知っているのだ・・・ひょっとしてカルロス同様、イレネ姉さんも、オイラの旅日記の熱烈読者ですか?