Off Season
雪+紅葉の素敵な季節がオフシーズンとは

2012.11.3 / Switzerland(Interlaken~Luzern) 本日 自転車79km走行 : Total 41399km走行
天気:晴時々曇 ネット:1 自転車折りたたみ:1 シェンゲン65日目
朝飯→ソーセージ 昼飯→チキンサンド 夕飯→チャーハン / 宿→Backpackers Luzern(ドミ部屋32スイスフラン)

(English)
 I left from Interlaken by bicycle. It is difficult to run by bicycle on Switzerland in this season because some paths are closed for snows.



 さてさて、物価の高いスイスでは、落ち着いてなんかいられない。すぐに次へ移動せねば、と、本日はもう、次の目的地へ。で、次は、マッターホルンが見えるツェルマットというところにも行きたいと思っていたのだが・・・昨日、グリンデルワルトのツーリストインフォで、宿を聞くついでに、いろいろ聞いたところ、もう、この時期、ツェルマットに続く峠が閉鎖されているため、電車でもいけないし、車やチャリでも行けないと言われてしまった。ということで、ツェルマット行きは断念。

 じゃぁということで、次の案として考えたのは、インターラーケンの東側にそびえる中央アルプスの峠越えをしてオーストリアへ向かうプラン。2000mを越えるいくつかの峠を越えるルート道があり、この道は走っているだけで、アルプスの雄大な風景を堪能できるらしいのだ。スペインで再会したコレさんが、このスイス道をお勧めしていたので、ぜひ走りたいと思っていたのだが・・・この峠越えルートも、ツーリストインフォのおばちゃんが言うには、閉鎖されているとのこと。

 あ~、スイス、この時期は、もう、完全にオフシーズンなんだなぁ。そうそう、そもそも、<オフシーズン>って意味は、観光客が減る時期、っていうくらいの意味でとらえていたんですよ。「スイスは11月に入ると、もうオフシーズンですよ」とは聞いていたんですけど、訪れる人が減って、むしろ、大自然を独り占めできるチャンスが増えるんだから、むしろ、いい時期じゃないか、なんて思ってて。しかも、この季節、木々が色づいて紅葉が美しいのに加えて、雪化粧した山々が見れるという、絶景の時期でもある。そんな素敵なタイミングをオフシーズンって言っちゃうなんて、ヨーロピアンはセンスないなぁ、なんて思っていたのですが・・・来て分かりました、スイスのオフシーズンの意味。雪が降っちゃうと、道が通れなくなるんですな。で、道が通れなくなるから、行きたいところへ行けなくなるという、ホントに<オフ>なシーズン。

 まぁ・・・まぁ、ね、昨日、インターラーケン周辺をチャリ走りしただけではあったが、いい天気の中、ザッツ・スイスアルプスな風景を見ることができたので、とりあえず、スイスはなんとなく満足。なので、ここも行けない、あそこも行けないと言われても、まぁ、そんなにショックではない(と強がってみる)。

 さてさて、周囲の峠が通行止めばかりとなっていて、行きたいところに行けないのであったら、ここから先は、また、電車で一気にワープしちゃおうか、と考えまして。スイスは一気に抜けて、オーストラリアのインスブルックまで電車に乗っていくことを企ててみたのですが・・・駅に言って電車代を聞いて撃沈。インターラーケンから、インスブルックまでは、130スイスフランとのこと。ふおお、1万3千円・・・なんだ、このスイス電車の値段設定の高さは。

 なんとかこんなにお金をかけずにスイスを脱出する方法がないかと、駅の切符売りのお姉さんに相談したところ、インターラーケンからインスブルックへ行く電車は、オイラが来る時通ってきたバーセルに戻ってから、チューリッヒを経由して、インスブルックへ向かうらしい。ここからチューリッヒまでは、直線距離でそんなに離れてはいないのだが、一つ大きな峠があるため、鉄道は、大回りしたルートになっているようなのだ。

 ってことは、チューリッヒまでチャリで走れば、そこからの電車代は、だいぶ安くすむってことか。単純に計算してみると、バーセル-インターラーケン間が64スイスフランだったんだから、チューリッヒーインスブルックは60スイスフラン以下でいけるはず、ということになる。

 ということで、インターラーケンからチューリッヒまでチャリで走ることに。問題は、そのルートの途中にあるというブリュニク峠。この峠も、オフシーズンなので通れませんってことになったら、もう、130スイスフランを泣く泣く支払って、電車で抜けるしかなくなる。

 駅を出た後、すぐに、ツーリストインフォに行って、ブリュニク峠の状況を聞いてみると・・・他の峠とは違い、この峠は、まだ閉鎖されていないとのこと。他の峠よりかは低いこの峠には、まだ雪が降り積もってはおらず、今のところ、問題なく、通れる状態らしい。

 ということで、ブリュニク峠を経由して、チューリッヒまでチャリで走ることに。で、早速、インターラーケンを走り始めたところ、町外れから、ユングフラウの山ががっつり拝めた。うむむ、こんなところに、ユングフラウをガッツリ眺められるスポットがあったとは・・しまった、昨日の、快晴の時にココを訪れればよかった。今日の空は、雲が多くて、せっかくの雄姿がイマイチぱっとしない。そういえば、泊まっていた宿のテレビモニターには、このユングフラウとかインターラーケン周辺の山々の頂上に設置されたライブカメラからの映像が映し出されていた。頂上に行って、いい景色が拝めるかどうかは、まず、宿のテレビで確認すればいい、というスイスならではの配慮。いやぁ、なんていうか、こういう方向に、スイスの観光客向けサービスは充実しているのですよ。こういうインフラ投資にかかった金を回収するために、物価が高いのかなぁ、スイス・・・(いや、地球の歩き方によると、スイスの物価が高いのは、美しいスイスアルプスと牧場の風景を守るために、農業を保護する政策が取られているためらしい。しかも、例えば、プロイラーを禁止するなど、手間隙かけてもいいから、自然に逆らわない農業施策が推奨されているため、コストが上がってしまうとのこと)

 さて、インターラーケンからは、湖沿いの道を走ることになる。ブリエンツ湖だ。湖越しに、雪化粧した玄武岩山脈が連なっている。そして、湖脇に広がる緑の芝生の上にポツンと点在する農家の一軒家。・・・ああ、スイスな風景だ。カメラを向けてシャッターを切る。どこを向いても、まるで絵葉書のような写真が撮れる。これが、スイス。う~ん、素晴らしすぎる景色だ、と、走り始めてしばらくは、ちょっと走るたびに立ち止まっては、写真を撮りまくっていたのだが・・・ゴージャス過ぎるこの景色も、ずっとゴージャスなままだと、そのありがたみが、薄れていってしまい・・・だんだん、立ち止まらずに走り続ける間隔が長くなっていく・・・

 そう、この風景を、ドラマの舞台に例えるならば、全ての登場人物に、主役級の美男美女を揃えてしまった、超豪華キャストのドラマのようなものかもしれない。本来、ドラマとは、美男美女は一人(一組)でいいのだ。そのほかの登場人物は、ブサイクだったり、味があったり、クセがあったりするほうがいい。いや、むしろ、そうでないと、ずっと見ていられるドラマにはならないのだ。ブサイクな脇役がいるからこそ、主役の美しさが際立つわけで、クセがある脇役がいるからこそ、主役の魅力が引き出されるわけで。全員が主役のようなキャラクターしか出てこないドラマだと、いいものも、いいものとして、引き立たちにくくなる。

 スイスには、なんかそんな、<全員が主役級>であるがゆえの、退屈さをちょっと感じてきてしまった。いや、ホント、スゴイ風景が広がっているんですよ、ココ。これだけスゴイ風景が、ずっと続くというのは、さすがスイスとは思うんですけど・・・

 そんなことを考えながらスイス道を走り続け、ルツェルンという街に近づいたところで、日が暮れてきてしまった。ということで、今日はルツェルンまで。街外れに、ユースホステルがあったので、そこに泊まる事に。ん~、しかし、値段がちょっと高め。そうかぁ、本来スイスではこれくらい宿泊費がするものなのかも。インターラーケンで泊まった宿が、たまたま安かっただけなのかもしれない。となると、移動費、滞在費、食費・・・全てが高くつくスイス。貧乏旅行者には、なかなか大変な国です、ハイ。