I wanted to run Dolomiti Road
天気予報を知らなければ、このままドロミテ街道を走っていったのだが

2012.11.9 / Italy(Cortina d'Ampezzo~Agordo付近) 本日 自転車70km走行 : Total 41736km走行
天気:晴のち曇 自転車折りたたみ:1 シェンゲン71日目
朝飯→パン 昼飯→パン 夕飯→パン / 宿→道路わきで野宿

(English)
 Today I left from Cortina d'Ampezzo.



 朝、相変わらず、寒い。テントから顔を出し、空を見ると、今日も快晴。天気予報どおりだ。しかし、この快晴天気も、今日まで。明日からは、天気が崩れるとのこと。

 ということで、今日のうちに、ドロミテを脱出せねばならない。この心地よい空間には、まだまだ居たいんだけどねぇ。ま、シェンゲンも迫っていることだし、天気がオイラの前進を後押ししてくれているってことかな、と考えながら、出発準備。

 さて、昨日の日記では、「<世界遺産>となっているドロミテ街道ではなく、もっと峠が緩やかで、天気が崩れてもなんとか走っていけると思われる別の道を走ることにしたんです」と書いたのだが、一昨日昨日の絶景ロードを走っちゃうと、やっぱり<世界遺産>となっているドロミテ街道って、どんな道なのか、気になっちゃいまして。

 ちなみに、ドロミテ街道とは、<コルティナ・ダンペッツォ>と<ボーツェン/ボルッツァーノ>の町を結ぶ道のことを指す。途中、ファルツァレーゴ峠とか、ポルドイ峠、コスタルンが峠やエガ谷などがあり、風光明媚で、起伏に飛んだ、サイクリングするには、最高に面白い道らしい。で、さらに、いろいろ調べてみると、つづら折のガルディーナ峠がある側道などもあり、ルート決めに困ってしまう、ホント、魅力的な道でして。

 これは、走っておかないと、後悔しちゃうでしょ、ということで、なんとかドロミテ街道を走れないかと、地図と相談してみたのですよ。そしたら、ここ、コルティナから、ドロミテ街道の最初の峠であるファルツァレーゴ峠まで走った後から側道に入っちゃえば、あとはほぼまっすぐ、次の目的地である、パドヴァまで行けそうだ、ということが分かりまして。

 ということで、今日は、ちょっとだけドロミテ街道体験。ファルツァレーゴ峠まで、ドロミテ街道を走っていくことに。

 コルティナを出ると、すぐに、上り坂となった。しばらく走り上ったら、コルティナの町が一望できるようになった。うむむ、絶景。しかし、相変わらず、コルティナの町は、写真には収まりきれないな。360度グルリと見渡すことで、素晴らしさが実感できる風景なんだもん。あ~、でも、この周辺の一番高い山の頂にまで上って眺めたら、この絶景を一枚の写真に収めることができるのかも・・・そう、実は、そう思う人たちの願いを叶えるために、山の頂まで連れて行ってくれるロープウェーとかあるんですよ。でも、まぁ、これが稼動しているのは、オンシーズンのみ。オフシーズンである、今は、動いていない。残念。

 さて、ファルツァレーゴ峠までの、ドロミテ街道ですが・・・ここもやはり、最高に素晴らしい景色だった。右手の方向には、オイラ好みの岩山が、壁のようにそびえ立っている。そして、左手方向を見ると、チンクエ・トーリという、妙に心を揺さぶる変な頂がある。ドロミテの素晴らしいところは、この素晴らしい景色が、ちょっと走るだけで、コロコロと表情を変えるところだ。ドロミテの山はそもそも、イビツな形をしているため、見る角度によって、印象がガラリと変わる。そんな表情豊かな、山がいくつも連なっているのだから、目の前の景色は、そりゃもう、変わりっぱなし。ちょっと走っただけなのに、まるで別の場所に迷い込んだかのような錯覚すら覚える。

 やぁ、今日もテンションあがりっぱなしです、ハイ。

 で、気づいたら、もう、2447mのファルツァレーゴ峠に到着していた。チャリの調子が絶好調で、景色が抜群であれば、峠越えなんて、全然苦じゃない。むしろ、もっともっと高みに上っていきたくなる。

 絶景のファルツァレーゴ峠。2500m近い峠だが、道は雪かきがなされており、走るぶんには、全然問題ない。なんだ、2500mの峠でも大丈夫じゃん。天気は相変わらず快晴。気持ち的には、まだまだ峠に挑んでいきたい・・・うむむ、ホントに、明日から天気は崩れるのかいな?このまま、ドロミテ街道を走っていけちゃうんじゃないの?と、思い、この先に見える、ドロミテ街道とパドヴァへと続く側道との分岐点を眺めながら、悩むオイラ。

 天気予報なんて知らなかったら、確実にこのままドロミテ街道に突っ込むんだけどなぁ・・・

 世の中知らなかったほうがいいこともある。

 とりあえず、昼飯を食いながら考えよう、とパンを食うことに。で、空を見ていると、先ほどまで快晴だった空に、だんだん雲がはってきている気はする。そんな雲状況を見ていたら、やっぱりヨーロッパの天気予報は疑っちゃいけないな、という気持ちになりまして。若干未練は残るものの、この先のドロミテ街道走りは諦め、側道の下り坂を降りていくことに。

 で、ここからは、一気に下り。ブレーキまわりもガッツリ直してもらって、さらに軽量化したファニーバニーは、下りも心地よく走れる。

 ドロミテ街道から外れちゃったら、もう絶景ともお別れか・・・と思っていたのだが、いやいや、側道とはいえ、このあたりも、やはりドロミテ。坂を下って辿りついたアッレゲという町の目の前には、チヴェッタ山という、これまた、オイラ好みの山がドーンとそびえたっており、ここでも、また、テンションあがりまくり。

 で、その先は、結構緩やかな下り坂になってきて、車の交通量も増えてきた。このあたりまで来ると、もう、人の生活圏のようだ。で、困ったことに、道に、トンネルが出てきちゃったんですよ。車通りの多い道のトンネルって、基本的に、自転車通り抜け禁止マークがついている。まぁ、強引に入っていっても、どうせ怒られないんだろう・・・とは思うものの、怒られる怒られないという問題以前に、そもそも、チャリで長いトンネルを通り抜けるのは、怖いのだ。なので、なるべくトンネルは抜けずに、側道の方を通ることにしたのだが・・・

 この側道が最悪だった。たぶん、こんなところを通る人は誰もいないのだろう。がけ崩れで、道が埋まったままの状態でほおっておかれているのだ。そんな中をチャリで通れるわけがない。ただ、もう、結構側道を走ってきちゃったし、引き帰ってやっぱりトンネルを通るのもヤダ。ということで、ここは、強引に、自転車をかつぎあげ、岩の上を歩いていくことに。軽量化したおかげで、なんとか持ち上げることができるようになったファニーバニーも、こんな足場の悪いところをかついで行くにはしんどすぎる。途中で、一回足をふみはずし、しこたま膝を打ち付けて・・・涙。

 で、この側道、関門はこれだけじゃなかった。その先に、旧トンネルと思われるトンネルがあり・・・ここがなんと、通行止め。鉄格子が道をふさいじゃっている。おおお~い、どうせ通行止めにするなら、なんで、オイラが入ってきた方の入り口を閉じておかなかったんですかい。ここまで来させておいて、この先ダメですって、そんな後だしはなしだろ~、と叫びたくなるも、こんなところで叫んだところで、その叫びは誰にも届きはしない。

 いやぁ、もう、来ちゃったからね。引き返すのメンドクサイ。さっきの岩道をもう一回ファニーバニーを担いで引き換えずなんて、絶対やりたくないし。ということで、ここは、禁断の柵越え。荷物をぜんぶばらし、一つ一つ、柵の向こうへ、柵を越えながら運ぶ。が、この作業、戻るのとどちらがメンドクサかったんだろう?というほど、手間のかかる作業となるハメに・・・

 そんなことをしていたら、この関門多し側道を抜ける頃には、もうすっかり日が暮れる時間になってしまいまして。ああ、これなら、強引にトンネル突破しておいたほうが、よかったよ。急がば回れってのは、必ずしも、真実ではないな、と、ボヤキながら、その側道の脇にテントを設営。

 ああ、今日もまたテントか。イタリアに入って、まだ一度もベッドで寝ていないなぉ・・・と、痛む膝を抱えながら、寝袋にもぐりこむオイラなのであった。