Is here my house?
家一つをオイラに?

2012.11.11 / Italy(Padova) 本日 自転車15km走行 : Total 41873km走行
天気:曇時々雨 パンク:1 ネット:1 シェンゲン73日目
朝飯→パン 昼飯→ペンネパスタとひれ肉のソテー 夕飯→リゾット / 宿→ジョバンニおじさんとドナッテラおばさん宅

(English)
 I stayed in Padova.



 朝、ふわふわのベッドで快適に目覚める。ふおお、どこだ、ここは?あ、そうだ、おじちゃんおばちゃん宅でお世話になっているんだった・・・といっても、朝起きても、この家には誰もいない。広い一軒家にオイラ一人。

 ここはオイラの家か?

 そんな錯覚すら覚えてしまうこの状況。

 う~ん、やっぱり変だ、この状況。それにしても、おじちゃんおばちゃんは一体どこへ?

 と思いながらも、「朝起きたら、適当に食べ物つまんどいて。あ、コーヒーはここね」と言われていたのを思い出し、コーヒーを沸かしながら、パンをかじる。ちなみにコーヒーは、もちろん、あのイタリアンスタイルの<直火式コーヒー沸かし器>で。これ、初めて扱う時には、やり方がわからず戸惑うことになると思うのですが・・・キューバで、このコーヒー湯沸かし器にハマり、途中まで、旅の小道具として持っていた(結局コーヒーは自分ではあまり淹れて飲まないことに気づいたため、途中のホステルに置いてきた)ため、バッチリ使い方は分かっているオイラ。勝手知ったる他人の台所で、朝食。

 さてさて、とりあえず、マテオさんか、おじちゃんおばちゃんが家に来るまでは、勝手にでかけられない。鍵は預かっていないので、ドアを開けっ放しで外出するワケにはいかないんでね。ということで、皆さんが来るまで、家の中でできることをやっておくことに。破れたズボンの補修とか、寝袋や雨カッパの洗濯とか。で、久々に、日記書きでもするかぁ、と、パソコンを広げたところで、マテオさんが「おはよう、ヨシ。よく眠れたかい?」とやってきた。そして、続いて、おじちゃんとおばちゃんも登場。「おはよう、ヨシィ。ブエノドミニカ!」と、おじちゃんおばちゃん。ブエノドミニカ・・・?良い、ドミニカ?・・・ドミニカって、ドルミル(スペイン語の寝るの意味)のイタリア語なのかなと思ったオイラは「シー、ドルミル、ビエン」と答えたのだが、そこで、すかさず、マテオさんから「ヨシ、ブエノドミニカは、<よく寝れたかい?>じゃない。いい日曜日ですね、っていう意味の日曜日にする軽い挨拶だから、ブエノドミニカって返せばいいんだ」と、ツッコミが入った。おお、助かります。うむむ、マテオさんが居てくれたら、めっちゃいい語学勉強環境だな、ここ。いい機会だから、イタリア語、いろいろ覚えちゃうことにしよう。

 さて、時刻は12時過ぎ。結局おじちゃんとおばちゃんがどこから現れたのかは、謎のまま、ランチを用意してくれることになった。皆さんがテキパキと動く中、オイラも何か手伝えることがないかと、何でもやりますよアピールしていたら、「ヨシィは、チーズを削って」と、パルメザンチーズの塊と、チーズを削るためのオロシ機を手渡された。へいへい、今日のオイラはチーズ職人でさぁ。

 そんなランチの準備中、今日もまた一人、突然の訪問者が。マテオさんの従兄弟のマイケル(メケレ)さんが、お手製の地ビールを持って登場。自転車で世界一周をしているクレイジーなジャパニーズが泊まりに来ていると聞きつけ、話が聞きたいとやってきたらしい。おお、それはそれは、恐縮です。オイラなんかの話でよければ、いくらでも。さて、どこから話せばいいですか?

 ドナッテラおばちゃんが作ってくれたザッツ・イタリアンなペンネパスタが用意でき、オイラが削ったパルメザンチーズがかけられて、ランチタイム開始。本日は、一皿目が、ペンネで、二皿目が、ひれ肉のソテー・バジルソース和え。いやぁ、家庭料理でも、フルコーススタイルなんですなぁ、イタリアのお食事って。プリモ・ピアット、セコンド・ピアットと出してくれるとは。これ、オイラが来ているから特別なんですか?それとも、普段からこんな感じなんでしょうか?

 さて、本日のランチ中は、英語が達者なマイケルさんと、マテオさんから、オイラの旅について、いろいろツッコミ攻撃。そんなツッコミに答えるため、ランチタイム中ずっと、頭をフル回転。そして、そんなオイラたちの英語会話をニコニコしながら、見ているおじちゃんおばちゃん。が、おばちゃんは、いろいろ気になるらしくて、「ねぇねぇ、あなた達何を話しているのよ。私にも教えて」と言うので、メテオさんが通訳に。

 美味しく、そして楽しいランチ。ランチと言えどもイタリアンフルコーススタイルですから、締めはもちろん、ドルチェ(デザート)が出てくる。おばちゃんが、出してくれたのは、大きなお皿状の固焼きビスケット。これ、テーブルの上にだされ、各自、片手でパリパリと割りながら、つまんで食べていく。オイラも真似して、片手でバリッと割ったビスケットの破片を一つつまんで口へ。うう~ん、めちゃウマ!!!上にかかっている砂糖が上品な甘さを演出していて、さらに、アーモンドとかナッツ系の味付けがなされていてめっちゃオイラの好みの味。ヨーロッパでいろんなスイーツを食べてきたけど、これが一番かも。思わず、「これ、なんていうお菓子なんですか!?」っておばちゃんに聞いちゃいましたもん。<フレゴロッタ>というお菓子らしい。うむむ、店で見つけたら、自分でも買ってみよっと。

 さて、当然、最後は、濃いコーヒー。いやぁ、今日も大満足です、ごちそうさまです。

 さて、午前中はしとしと降っていた雨も、午後になって止みまして。昨日、オイラがセッティングしたので、家の中でWifiが掴まえられるようにはなったものの、その先をつないでいないので、この家では、まだ、インターネットは出来ない。ということで、午後は、チャリに乗って、パドヴァの町へ行って、観光がてら、ネットにつないでくることに。

 チャリで15分くらい走って、パドヴァの町に到着。オイラは知らなかったんだけど、パドヴァ、一応、ガイドブックにちゃんと載るほどの町。イタリアで最も有名らしいサントアントニオ聖堂とか、ヨーロッパで二番目に広いらしいプラート・デッラ・ヴァーレ(広場)があったり、スペインでご一緒した安藤さんオススメのフレスコ画があるスクロヴェーニ礼拝堂があったりする。

 そんなパドヴァの町をウロウロし、開いていたサントアントニオ聖堂や、エレミターリ教会の中を覗いたりしてみた。う~ん、聖堂にしても、教会にしても、広場にしても、飾られている彫刻像とか、フレスコ画は、緻密で、素晴らしいなぁ、とは思うものの、オイラ的には、今ひとつ、グッとくるものがない。なんかねぇ、昔から、キリスト教的なものには、心が響かないんですよ。ローマ的なものには、ガッツリ触れるのは今回のイタリアがほぼ初めてだから、楽しみにはしているんですけど・・・今のところ、そんなにテンションはあがりきらない。

 さて、一休みがてら、チャリを表に停め、Wifiがあるカフェに入って、一杯のコーヒーを頼んでパソコンを広げ、メールチェックやら、ブログ更新をしていたら・・・一人の見知らぬイタリア人の男の人が、一杯のコーヒーを差し出してきた。え?なんですか?と思ったら、どうやら、オイラにコーヒーを一杯奢ってくれるとのこと。なぜですか・・・僕はアナタを知らないんですけど・・・と言うと、「キミは自転車で旅しているんだろ?昨日こいでいるのを見かけたよ。表にあるチャリに見覚えがあってね。僕は自転車が好きなんだ」と。ふおお、なんですか、このイタリア人の温かさ。

 ありがとうございます、といただくことに。

 いやぁ、なんていうか・・・チャリ旅をしているオイラは、今、<ある種のオーラ>を纏っていると思うのですよ。このオーラはまるで魔法のようで、これを纏っている間、出会う人たちと、特殊な関係を築けてしまう。うん、このオーラは、旅人であれば、誰でも纏うことができるのですが、チャリダーが纏うオーラは、特に魔法の度合いが強い。そんなマジックオーラも、有効なのは旅の最中だけ。これは、おそらく、旅が終わったら消えてしまう儚いものなんだよなぁ・・・

 ・・・そんなことを考えながら、いただいた一杯のコーヒーをいただく。うん?今日コーヒー四杯目じゃね?ちなみに、イタリアのエスプレッソコーヒー、めっちゃ濃い。ん~、今晩、眠れなくなったらどうしよ。

 さて、最後に、安藤さんがオススメしていたスクロヴェーニ礼拝堂へ行ってみる。が、ここは、聞いていた通り、あらかじめ予約しておかないと、中には入れないらしい。う~ん、残念。まぁ、そんなに特別に興味があるわけでもないし・・・一応フレスコ画は、さっき入ったエレミターリ教会で見れちゃったから、まぁ、いいか、と。

 で、家に戻る道を走っていたら・・・途中で前輪がパンクした。しまったぁ、パンク修理キットを持ってくるのを忘れてたぁ・・・ということで、家まで30分ほど、自転車を押して帰るハメに。すっかり遅くなって帰った家では、おじさんとおばさんが、リゾットを作って待っててくれた。

 帰る家があるって素敵。

 誰かが待っててくれるって素敵。

 で、家には、新しくパソコンやら、テレビやらが持ち込まれていた。食後、おじちゃんを手伝って、そのパソコンやら、テレビのセッティング。うむむ、この家、その手の娯楽電化製品が置いてなくて、それが、イタリアのスタイルなのかと思っていたのだが、どうやら、そうではなかったらしい。ただ、<まだ運び込まれていなかった>だけだったのだ。

 やっぱり引越しの最中なのかな?と思って聞いてみたのだが「引越しじゃなくて、私達は母の家に住んでいるのよ」という部分しか分からなかった。今晩、マテオさんは仕事のためおらず、通訳がいないから、詳しい部分は分からないまま。

 そして、今晩も、おじちゃんおばちゃんは「ヨシィ、戸締りを忘れずにね、おやすみ」と言って、車で去って行ってしまった。たぶん、母の家というところに。う~ん、介護しなきゃいけないおばあちゃんでもいるのかな・・・

 謎は謎のまま・・・パドヴァ居候生活二回目の夜。今夜もこの家は、オイラ一人。

 ※この謎は二日後に完全に明かされます