15th Carnaval de Kafountine
故郷はちょっとだけ変わってました

2013.2.10 / Senegal(Baila~Kafountine) 本日 自転車54km走行 : Total 43370km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→サンドイッチ 昼飯→サンドイッチ 夕飯→ポワッソン / 宿→Casa di Mansa(3000CFA)

(English)
 I arrived at Kafountine. Carnaval was already started.



 バイラの宿を出発し、いよいよカフォンティンに向かって走り始めようとしたのだが、まだ朝飯を食べていない。ということで、メイン道路沿いにあるサンドイッチ屋台で朝食を済ませることに。セネガル人が集う中、入り込み、フランスパンにミドリ豆をつぶしたペーストを挟んでもらう。セネガルでは、このサンドイッチ+カフェトゥバってのが、朝の定番メニュー。場合によっては夕飯もこれで済ませることがある。パン、具ともに美味いので、このサンドイッチには全然飽きがこない。

 さて、今日も走り始めたカザマンス道。この道は、昨年も一度走った道なので、なんとなく、心も気楽。

 そんな気楽な心が周囲を楽しむ余裕をもたせるのか、今回は、周囲の村の様子がよく目に入ってきた。道沿いの村は、前回よりも、賑やかになったような気がする・・・って、それは子供達が元気だからか。走っているオイラの姿を見ると、子供達が大声で歌いだすのだ。

 ルルメガ、サンガイ
 ルルメガ、サンガイ

 出会う子供達全員が、このフレーズで大合唱。意味は分からないのだが、とりあえず、ニコニコ顔で歌ってくれているから、歓迎の意味の歌なんだろう。

 さて、海沿いの奥地にあるカフォンティン。メイン道路から反れ、未舗装の側道を走ることになるのだが・・・その分岐点の町にある側道の入り口が、工事中になっていた。道路が掘り起こされていて、車は通れず・・・なんとか自転車なら通れる程度の道しかない。うむむ、この未舗装道も、いずれは、舗装道路になって、カフォンティンに入りやすくなるのだろうか?

 まぁ、とにかく、今のところは、相変わらずのどかな未舗装道を15kmほどひた走り。で、カフォンティンの村の入り口にあるデッカイバオバブの木が見えてきた。ふおお、帰って来たゼイ、第三の故郷、カフォンティン!!!

 そのまま村に入り、目抜き通りを走っていたら、「おーい」とオイラを呼ぶ声が聞こえてきた。ブラック&ホワイトというカフォンティン一のライブハウスの近くの道に、お土産を並べているお兄ちゃんが、オイラを呼びかけている・・・と、なんと、前回、なにかとお世話になった土産屋のお兄ちゃんではないですか。店の場所変えたんですか?「戻ってきたのか」「ええ、久しぶりです」という会話をした後、なんでこんなところに店を広げているのかと聞いてみたところ、なんと、二日前の金曜日からカーニバルが始まっていて・・・メイン会場であるブラック&ホワイトには人が集まるから、集まった人に土産物を買ってもらおうと、ここにモノを並べているとのこと。

 おお、カーニバルはもうはじまっていたとは・・・カフォンティンのカーニバル、ネットで検索しても出てこないし、ダカールでも、知り合いに聞いてみてもいつ始まるのか分からなくて・・・(ツーリストインフォとか行けば分かったのかも知れないが)、とりあえず、2月って言ってたから、そろそろだろうと思っていたのだが、まぁ、勘は大体当たってたってことで。

 しかし、金曜日のフェリーに乗れてホントよかったよ。あれに乗れなくて、次の火曜日のフェリーになってたら、カフォンティン到着が、木曜日になってたからな。カーニバルの終わりしか見れなくなるところだった。

 土産屋のお兄ちゃんによると、カーニバルは、来週の土曜日まで続くとのこと。ふふふ、カーニバル、あと一週間はまるまる楽しめるじゃないか・・・

 とりあえず、自転車置いたらまた戻ってきますよ、と土産物屋のお兄ちゃんと別れ、走り出すオイラ。お腹空いていたので、飯でも食べることに。で、カフォンティンで飯といえば、メリー姉さんの食堂でしょ、ということで、メリー姉さんの所へ行って昼飯を食べようと、楽しみにしていたのだが・・・メリー姉さんの食堂があったはずの場所を、そのまま通り過ぎてしまった。食堂が目に入らなかったのだ。あれっ、確かこの辺にあったはずなのだが、と思って引き返してみたところ、なんと、元メリー姉さんの食堂があった場所には、土産物がズラリと並べられ、一人の見知らぬ男の人が、ドンと座っているではないですか。

 「あの・・・ここ、前レストランだったと思うんですけど」と、聞いていたら、隣から、前回お世話になったこれまた土産物屋のおじさんが出てきた。「ああ、メリーなら、別の村に行っちゃったよ」とのこと。

 ガ~ン・・・

 かなり、ショック。うむむ、決して美味しいとはいえないが、味のあるメリー姉さんの飯を食べるのは、故郷であるカフォンティンに戻る大きな楽しみの一つだったのに。

 しょうがないので、飯は後にして、まず、宿であるカサ・ディ・マンシャに向かうことに。で、途中にディザン師匠の家があったはずなので、そこへ行ってみたところ・・・誰もいない。キョロキョロしていたら、「何か?」と一人の男の人が声をかけてきた。「えっと・・・」と説明しようと思ったところ「あ、キミは、昨年ディザンにジャンベを習っていたジャパニーズだね。ディザンはココを出ちゃったんだよ。今は別の人が住んでいるんだ」とのこと。

 ガ・ガ~ン・・・

 ダブルショックですがな。なぜみんなカフォンティンを離れてしまうのだ・・・せっかく戻ってきたというのに、再会すべき人がいないのでは、戻ってきた意味がないではないか・・・

 しょぼしょぼと砂道を自転車を押して進んでいたら・・・「ヨギ!」と呼ぶ声が聞こえてきた。オイラのことをヨギと呼ぶのは・・・そう、ディザン師匠の内弟子で兄弟子だったチョだ。「おお!チョ、戻ってきたよ~、ところで、ディザン師匠が居ないってホント?」と聞いてみたところ、「そうなんだ。ディザンはジガンショールへ行っちゃったんだよ。カーニバルには戻ってくるかもって言ってたけど、まぁ、彼のことだから気分次第なんで、分からないけどね」とのこと。

 うむむ、ディザン師匠はジガンショールか。カーニバル中に戻ってきて会えればいいけど、そうじゃなかったら、ジガンショールにはもう一度戻ることだし、そこで探してみるってのもアリだな、と。

 さて、再会したチョとしばし話が盛り上がった後、いよいよ、宿、カサ・ディ・マンシャへ。ここは・・・何も変わっていなかった。

 宿の敷地内に入って、庭掃除をしていたおばちゃんに、「ボンジュール!」と声をかけたところ・・・しばし、「誰だっけ?」という反応を示したおばちゃん。「ああ!戻ってきたの!」と、オイラのことを思い出してくれ、にこやかに迎えてもらいまして。そして、「ジプソンは?」と聞いたところ、「離れのカンパメントに住んでいるわ。声をかけておくから、後から来るわよ」とのこと。

 カフォンティン、ちょっと変わっていたけど、ここが全然変わってないがなによりだ。ホッとさせられたよ。

 それにしても・・・カーニバル中というのに、泊り客が誰もいないという状況も変わりはない。いいんですかねぇ、これで・・・と思いつつ、前回と同じ部屋へと案内される。海辺が目の前のこの部屋は特等部屋だ。

 「値段は一泊3000CFAね」と、お値段も変わらず。

 そして、部屋に荷物を入れていたら・・・ジプソンがやってきた。「ハロー、ヨシ。ジャパンはどうだった?」と聞かれたのだが、オイラは日本には戻っていない。「いや、日本には戻らず、ヨーロッパをウロウロしていたのよ」というオイラの答えに「まぁ、とにかく戻ってきてくれてよかった。ジャンベは上達した?」と畳み掛けるように質問攻め。「うむむ・・・まぁまぁかな」と答えるオイラ。打楽器はねぇ、イスタンブールでダラブッカの修行をしたばかりなんで、今、相当叩ける状態ではあるのだが、正直ジャンベは・・・しばらく叩いていないんで、叩けるとは言いがたい。前回、クラックやトノ、バズの音の叩き分けのコツはつかんだと思ったものの、体に叩き込んだワケではないから、今、ジャンベを出されて、さぁ叩けといわれると、ちゃんと叩ける自信はない。

 「そうそう、ヨシはトゥバブジェラウも行ったんだね。ヴィア兄貴が話していたよ」なんて話がはじまった。

 まぁ、ジャンベはさておき、とりあえず、ジプソンと久々の再会で盛り上がる。

 で、ジプソンから、カーニバル情報についていろいろ教えてもらいまして。夕方6時くらいから、DJとか前座バンドとかが演奏して音が流れ始めるのだが、基本的に夜21時くらいから、ブラック&ホワイトの会場が盛り上がるとのこと。

 ということで、21時に行ってみましたブラック&ホワイト。500CFA(100円)の入場チケットを買って中へ入る。DJ音楽が流れる中、子供達が踊りまくり。うむむ、まだまだ盛り上がってはないけど、この風景を見るだけでも楽しい。

 さてさて、今日はカフォンティンのバンドが出演する日らしく、前回オイラが聞いたカフォンティンな音楽ばかりが演奏されていた。チョが出演するバンドも相変わらずなカフォンティンジャンベで。

 なので、最初は、わざわざカーニバルのために戻ってくることはなかったかなぁ・・・なんて思ったのだが・・・いやいや、この後、繰り広げられたカーニバルの盛り上がりは、前回見たカフォンティン音楽とはまったく違ったものになっていったのですよ・・・

 「カフォンティンのカーニバルはスペクタクルだよ」と、前回、カフォンティンを知る人みんなから言われていた。カフォンティンを教えてくれたマーサも言ってたし、ジプソンも、ディザンも、ヴィアも言っていた。

 その<スペクタクル>ってどんだけ?と思っていたのだが・・・今日のカーニバルのステージを見て、その<スペクタクル>の意味が体感できた。これぞスペクタクルなステージが繰り広げられていったのだ。

 そのキッカケを作ったのは、ペットボトルで作った報道カメラを持った<カメラマン>というキャラで舞台に割り込んできた、アヒルおじさんだった。はじめ、こんな変な人がステージに入り込んでいいのかいな?と思ってみていたのだが、どうやらこのアヒルおじさんは、カーニバル事務局公認の盛り上げキャラのようでして。オカシナ動きで観客に笑いを起こし、盛り上げるべきところで、強烈ダンスを披露して、客をあおる。そう、このアヒルおじさん、ただのおふざけさんではなかったのだ。笑いとマジ芸を持った真のエンターテイナー。このアヒルおじさんは、カーニバル期間中ずっと、毎日、ステージに登場しつづけたのだが、演者の邪魔にならず、それでいて、上手に演者と絡む具合は、ホント、場の空気を読める人なんだなぁと、感心させられまくり。うん、カーニバルというか、ステージにおいて、こういう人がいるのといないのでは、盛り上がり方は全然違う。今回のカーニバルで一番勉強させられたのは、実は、このアヒルおじさんのステージングパフォーマンスだったりして・・・

 さて、本日は、特別キャラとして、アヒルおじさんだけではなく、さらに、足長おじさんキャラも登場。この人も、足長状態ながらも、強烈ダンスを披露するテクニシャン。会場を盛り上げに盛り上げる。

 これらのキャラに乗せられて、客がヒートアップ。舞台に次々と登り、踊り始める観客。うむむ、セネガルの人は、客といえども、皆さん、超一流のダンスを踊れる人たちばかりですから。ステージ上は、客といえども、エンターテイメント。そして、ひとしきり踊ったら、ちゃんと舞台から降りるというルールが出来ているためか、ステージ上にも混乱はない。

 なんだ、この楽しい空間は・・・

 カーニバルといいつつ、ステージが用意され、演者と観客が隔てられた空間で音楽が演奏され・・・これじゃ、ただのライブじゃんと思っていたステージだったのですが・・・いやいや、やっぱりこれはカーニバルだった。演者の演奏に合わせて、参加者みんなが踊りまくり。スペクタクルだぜ、カフォンティンのカーニバル!