Voodoo
ベナンに対するイメージとリアルのギャップ

2013.7.2 / Benin(Grand Popo~Cotonou) 本日 自転車94km走行 : Total 45771km走行
天気:曇時々雨時々晴 ネット:1
朝飯→ローカル飯 昼飯→トウ 夕飯→ハンバーガー / 宿→Hotel le Crillon(シングル5500セーファ)

(English)
 I run on Benin.



 昨日のイミグレ事件のせいで、なんとなくベナンに嫌な空気を感じちゃっているオイラ。そんなベナンなんで、さっさと抜けてしまいたいところなのだが、ベナンには気になっているものがありまして。それは・・・ブードゥー教。カリブ海のハイチでの信仰が有名なブードゥー教なのだが、実は発祥の地は、ここベナンと聞きまして。で、ベナンの中でもブードゥー教の中心地的な町であるウィダーという町が、通り道にあるということで、ウィダーの町に寄ってみることに。

 海岸通りをしばらく走ると、ウィダーの町に到着した。ロンプラによると、Musee d'histoire d'ouidahってところに行けば、ブードゥー教関連のモノが見れるとあったので、そのMusee d'histoire d'ouidahに行ってみたのだが・・・実際行ってみたら、ココにはブードゥー教のモノは何も置いていないとのこと。じゃぁ、どこへ行ったらブードゥー教のモノが見れますか?と聞いてみたら、「近くにブードゥーハウスがあるよ。そこにはブードゥー教の教祖が住んでいる。案内するけど行く?」と一人のお兄さんが言ってきた。いかにもガイドっぽいこのお兄さん、案内料は?と聞いてみたら、25,000CFAという。「え~、教祖に会うだけなんでしょ、ブードゥーの儀式とか見れるワケじゃないんでしょ?高すぎるよ~」と言うと「何を言ってる。ブードゥーの儀式を見ようと思ったら200,000CFAくらいかかるんだぞ」とお兄さん。

 オイラ、別にブードゥー教の教義自体に興味があるワケじゃなくて、ブードゥーの儀式の際に繰り広げられるという太鼓やダンスが見たいだけ。なので、教祖が住むというブードゥーハウスに行ってもあんまりありがたみはない。そんな対象に、5000円近く払うってのは・・・と思って、その値段だったらいいや、行かないです、と断ったら「いくらなら出せる?」と、得意の値段交渉が始まった。結局15,000CFAになり、ま、その値段だったら、興味本位で行くってのもアリかなと思ったので、このお兄さんにガイドを頼むことに。

 で、向かったブードゥーハウス。家の周りの壁には、アニミズムな彫り物が埋め込まれており、いかにもな雰囲気。その中で、ひときわ大きな彫り物として埋め込まれていた偶像に・・・見覚えがあった。「これはひょっとしてイェマンジャ?」と聞いてみたら「そうだが、よく知っているな」と、ガイドのお兄さん。イェマンジャとは、ブラジルのカーニバルの時に知った、サルバドールで祀られている海の女神様。そんなイェマンジャが、ここでも祀られているとは・・・密教カントンブレなど、ブラジルの信仰文化も、元はこの辺から連れられた黒人奴隷が作り上げたものだった、という話は聞いていたので、実際に、この目で、その<つながり>を見れて、感激ひとしお。

 うむむ、イェマンジャを見れただけでも、来た甲斐あったなぁ、なんて思うオイラ。さっきまで、儀式が見れないなら、来てもしょうがないなんて思っていたのに、早くも心変わり。やっぱり実際に来たら、面白いもんだな、こういう場所は、なんて思いながら入ったハウス内には、もっと興味深い世界が展開されていた。

 ハウスの中に入ると、庭の真ん中に、なにやら、奇妙な形状のものが置かれているじゃないですか。実は、これ、儀式の時、祭壇になるものらしい。う~ん、ただのがらくたの寄せ集めにしか見えないんですけど・・・

 この、一見、こんなものを崇拝してどうすんの?という疑問を抱かせてくれるのが、ブードゥー教の興味深いところ。<鰯の頭も信心から>というコトワザを地で行くような宗教なのだ・・・って、このコトワザは、もともといい意味では使われない喩えだから、こんなふうに書くとブードゥー教の方々に怒られてしまいそうなんですケド・・・いや、なんていうか、不思議という意味でこのコトワザを挙げてみたんですよ。決して悪気があるわけではないので、あしからず。

 さて、ブードゥー教のアイテムがいろいろある庭を巡った後、いよいよ、ブードゥーの教祖様と対面。お兄さんに案内され、一つの建物の中へ。部屋の奥のソファーに深々と腰掛けている方が、教祖様だった。

 うむむ、部屋の感じが、いかにもアフリカの部屋であり、部屋を華美に飾りつけているワケではないので、なんか、普通のおじさんが、座っているだけのように見える。

 が、この方こそ、全世界に五千万人はいると言われているブードゥー教信者の頂点に立っている人なのだ。

 そんな方なので、さすがに、近づくと、オーラらしきものを感じて、なんだか妙な緊張感。やっぱり何かを持っている方なんだな。そんな教祖様から、なにやらありがたいお言葉をいただいたのだが・・・現地語だったので、よく分からず。後でお兄さんに聞いてみたら、あなたの旅にご加護あれ、みたいな言葉をいただいたらしい。

 さてさて、教祖の部屋には、ブードゥー教の儀式の写真が張ってあり、オイラとしては、興味シンシン。ちなみに、何もない時にブードゥー教の儀式を見たいと思ったら、200,000CFA(4万円くらい)するらしいのだが、2月にココ、ウィダーで、一年に一回のでっかいブードゥー教儀式が繰り広げられるとのこと。その時期にココに来たら、(たぶん)タダで、ブードゥー教の儀式を見ることができるらしい。

 ああ、こういった催しごとって、だいたい2月に行われるですよねぇ、西アフリカ。見たいイベントがいっぱいあるのに、それらのイベントの開催月は、大抵2月。ほぼ同時期に行われるから、同じ年に一気にイベント巡って旅するというやり方ができないのが残念。西アフリカのイベントを制覇しようと思ったら、今年はあのイベントで、来年はあのイベントで・・・と、何年がかりになるか分からない旅になっちゃう。

 で、オイラが、あまりにもシゲシゲと、ブードゥー教の儀式の写真を見ていたので、「儀式に興味あるの?実際に見るのは準備に時間がかかるから難しいけど、儀式で使われる音楽なら今、すぐにココで聴くことができるよ」と、教祖様が言ってくださいまして。で、早速聴かせてもらった、儀式で歌われるというブードゥーミュージックの音源は、教祖様自らが歌っているというレアモノ。曲自体も、アップビートな太鼓が鳴り響くもので、オイラ好み。「こ、これ、データをコピーさせてもらえませんか?」とお願いして、コピーさせてもらいまして。ふおお、こんな曲を入手できたのなら、ガイド料として支払った15,000CFAも安いもんだ。

 ということで、行く前は相当渋っていたくせに、結局大満足することができた、ブードゥーハウスを後にして、ベナンの首都コトヌーへ。で、到着したコトヌーは、相当な都会だった。ベナンってほとんど名前も聞いたことがないような国だったから、さぞかし田舎な国なんだろうなぁ、なんて勝手なイメージを持っていたのだが、来てみたらどっこい、首都はめっちゃ都会じゃん。ダカールよりも都会じゃね?と思うくらいの発展ぶりだった。

 ブードゥー教といい、コトヌーといい、ベナンの現実は、オイラのイメージと大きくかけ離れたものばかりだな。う~ん、やっぱり来てみないと分からないもんだ。第一印象が最悪だったベナンも、ちょっと面白くなってきたぞ。




































































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