(English)
I run on Norway road.
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朝、テントから出てビックリした。1m先がまったく見えないくらいくらいの深い霧に包まれちゃっていたのだ。ふぉお、なんてこった・・・っていうか、やっぱりだな。昨日の夕刻テントを張っていた時に、山に雲がかかるのを見て、そんな予感はしていたんだよ。ああ、予感に従って、無理してでも昨日のうちに上っておけばよかった、と後悔。たとえ日没後だったとしても、こんな1mも先が見えない状態よりかはマシ。あ~、ホント、ノルウェーでは次の日に期待なんかしちゃダメだ。
しかし、こんな状況だったら、普通にチャリ走りするのも、危険だ。山道なので、車の通りは少ないとはいえ、走っているっちゃぁ走っている。
ということで、しばらく霧が晴れるのを待つことに。まぁ、こういう濃霧ってのは朝だけのことが多いですから。天気が崩れない限りは、しばらくすれば、はれてくるもんだったりするし、と思っていたのですが・・・1時間経っても、2時間経っても一向にはれる気配がない。
テントの中で横になり、うたた寝しつつ待って、4時間経過。ようやく10m先くらいはぼんやりと見えるくらいの状態になってきたので、出発準備をすることに。で、ここで、、どうしよう、展望台にいくべきかどうか・・・と再び悩む。せっかくだから展望台に行ってみたい気はあるのだが、こんな状況では行っても大した風景は見れないのではないか?と思ったりする。だったら、1000mも上る坂道を上るのは、正直大変なので、スルーしてガイランゲルに向かっちゃう方がいいのではないか、なんて思いもあったのだが・・・結局、一旦行こうと思ってしまった以上、行かずには居られないというオイラのメンドクサイ性格にせいで、一応、展望台に行ってみることに。
ということで、展望台へ続く道を走り始めたところ・・・なんとゲートみたいなのがあるじゃないですか。で、ゲート入り口には、車100Nok(ノルウェークローナ)とか書いてある。え?お金取るの?と思って、こんな状況でお金払ってまで行くのはなんだなぁと思いながらゲートに近づき、「あの、自転車だとおいくら?」と聞いてみたら、中のお兄さんが親指を立て「自転車はお金いらないよ。グッ!がんばってね」と応援してくれた。
励まされたからには、もう行くしかない。ということで、ヒイコラと上り始める。と、途中まで上ったところで、霧がはれてきた。いや、正確に言うと、霧がはれてきたわけではない。霧ゾーンの上に抜けたのだ。
下に見えるのは先ほどまでオイラを包んでいた雲海。その雲海を下に眺める視点は、妙な優越感を与えてくれた。なんだか、天上人になったような気分だ。
雲の上に居る感覚が、いつもとは違った想いを抱かせる。見下ろす感覚が心地いい。
人は高いところに憧れる。
これは、高いところから見下ろすことの心地よさを求めているからだろう。
高いところから見下ろすことの心地よさは、展望台でマックスに達した。雲海が広大に広がる展望台からの眺めは格別だった。
今までいろんな山々を見てきたけど・・・ここまで雲海が広がる景色は初めて。
周囲が見えなくなることが、残念だと思っていたのに、この風景は、周囲を見せなくすることが、雰囲気を作り上げている。
霧がはっているから大した風景はみれないだろう、なんて思っていたのは間違いだった。霧がはっているからこその素晴らしい風景が待っていたのだ。自然はいつもオイラのちっぽけな予想をいい意味で裏切ってくれる。これはこれで、ホント、来てよかった。
さて、そんな展望台からの絶景を十分に満喫して、上ってきた道を一気に降り、再び霧の世界へ。。そして、そのままガイランゲルへ向かうことに。ココからの風景は、霧に包まれているせいで、まったく見えない。いつもならもったいないと思うところなのだが・・・雲海風景をこの目に焼き付けたオイラとしては、今、さっき見てきたあの霧の中を走っているんだ、という妙な高揚感が生まれ、ちょっとテンションアガリ気味。この心の変化がなんだか妙に面白い。
そんなことを思って走っているうちに・・・今度は、霧の下の世界に抜けた。空には霧(と思っていたが実際には雲だった)がどんよりとかかっている状況で、ガイランゲルの町が眼下に見えた。
ガイランゲルの町は、奥まったフィヨルド海岸の沿岸にある。山々に囲まれた地形が独特であり、比類なき美しさと例えられている。そんなガイランゲルなのだが・・・空にはどんよりと雲がかかっていて、サンシャインがないので、キラキラ感がなく、オイラ的にはちょっとビミョウだった。ああ、きっとここは、太陽が出ている時に見たら、全然印象が違うんだろうな、と思いながら、テンション上がりきらないまま、ガイランゲルまでの下り坂を降り始めた。
町までは、いくつものヘアピンカーブの急な坂となっていた。いやぁ、この道、上りじゃなくてよかったよ、なんて思いながら下り、ガイランゲルの町を抜けたところで・・・目の前に、今度は上り坂のトリプルZ字のヘアピンカーブが見えるじゃないですか。なんだよ上りも待っていたのかよ・・・だったら、一旦下らせるなんてことはせずに、山の高みをキープしつつ進めるように、山の峰伝いに道を作ってくれたらいいのに・・・と思いながら・・・
ま、この急勾配なVの字のダウンアップが、ガイランゲルの魅力ではあるのだが。
そうそう、晴れていたら、このVの字も喜んで受け入れられたと思うんですよ。が、この天気じゃぁ・・・テンション上がったら、ここで一泊と思っていたかもしれないガイランゲルであったが、曇り空のせいでテンションがあがりきらないので、すぐに抜けてしまうことに。
ということで、トリプルZ字のヘアピンカーブを、文句をブツブツ言いながら上り始めるオイラ。まぁ、上ったら上ったで、曇り空であっても、やっぱりいい風景が見れるんですけどね。ああ、曇の状態で、これだけいい風景が見れるんだから、ホント、晴れてたら素晴らしいんだろうなぁ・・・残念・・・が、ノルウェーの天気ばかりは、ホントどうしようもない。待っていても次の日に晴れるという保証は何もない。仮に天気予報で晴れと出ていても、一日中晴れなんてことはありえない。いいタイミングで曇ることが当たり前の場所なのだ。
そんな感じで、ガイランゲルはあっという間に抜けてしまった。上りきった丘からは緩やかな下り坂が続いていたので、一気にEidsdalというフェリー乗り場がある町へ。そこからフェリーに乗って、対岸のValldalへと向かう。と、そのフェリーの中で、車に乗ったイギリス人のご夫婦が「食べる?」といって、バナナを差し入れてくれた。それがキッカケとなり、フェリーに乗っている間は、このお二人に、オイラの旅話をして過ごす。「イギリスに来ることがあったら寄りなさいよ」と言ってくれたのだが・・・イギリスには何度か行ったことがあるので、この旅では寄らないつもりだったのだが・・・結構イギリス人の知り合いが増えてきたことだし、行くのもありかもなぁ・・・チャリで訪れると、今までの旅行で訪れた時とは、また違った印象になるのは分かっているしな、なんて思うオイラ。
さて、フェリーが到着し、Valldalへ。走り終えるには、ちと早い時間ではあったのだが・・・今日は展望台に上ったり、ガイランゲルのトリプルZ字ヘアピンを上がったりと、ハードな一日だったし、ちょうどこの町の外れによさげなキャンプ場があったので、ここにチェックインして休むことに。あ~、毎日走り続ける生活に、ちょっと疲れてきた。ここらへんで、ちょっと休息がしたい・・・
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