(English)
I stayed in Brasov.
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昨日に引き続き、今日も読書日。今日は石田ゆうすけさんの<洗面器でヤギごはん>を読む。昨日は一日ベッドの上で寝転んで読んでいて、なんか体がおかしくなってきちゃったので、今日は、ちゃんと、椅子に座って読むことに。
さてさて、まず、第一感想としては、とにかく、面白かった。ま、オイラの人生を変えちゃった人が書いた本、しかも、その<行かずに死ねるか!>と同じ世界旅の第三弾なのだから、面白くないワケがない。
いやぁ、しかし、驚かされたのが、石田さんの文体がすごく<作家>になっちゃっていたことだった。<行かずに死ねるか!>も、もちろん、興奮させられるほど素敵な文章ではあったのだが、この<洗面器でヤギごはん>の文章は、より、情景描写が細かく、そして臨場感に満ちたものになっていた。
別に、石田さんのような文章書きになりたいわけではないオイラだったのだが、やっぱり、意識はするもので。<行かずに死ねるか!>を少々お手本にしつつ、この日記を綴っていたりして、ちょっとは石田さんに追いつけてきたかな、なんて思っていたのですが・・・いやいや、<洗面器でヤギごはん>を読んで、その差は以前にも増して開いているんだということを確認して、愕然としてしまったのです。
と、まぁ、愕然とさせられるくらい、文章がいいんですよ、この本。
ただ、旅をしていない人には、この本は、ちととっつきにくいかも、と、思っちゃった。この本で取り上げられているのは、タイトルから推測されるとおり、<世界の味>。石田さんは、自転車世界一周旅を、三冊の本に分けてまとめてるんですよ。一冊目が<行かずに死ねるか!>、二冊目が<いちばん危険なトイレといちばんの星空>、三冊目が、この<洗面器でヤギごはん>。3冊とも同じ旅についてなのですが、それぞれ切り口が違う。<行かずに死ねるか!>は、旅のワクワクエピソード集、<いちばん危険なトイレといちばんの星空>は、旅で出会ったいちばんのモノをまとめた話、<洗面器でヤギごはん>は、旅中に食べた飯にまつわるエピソード、となっているんです。
<行かずに死ねるか!>は、心の底に眠っている<旅心>ってやつをくすぐられてしまう冒険活劇的なお話ばかりなので、旅したことがない人でも、十分に楽しめる。っていうか、オイラみたいに、会社を辞めてまで、旅に出る気にさせちゃうくらいのパワーがある本。
<いちばん危険なトイレといちばんの星空>は、誰しもが世界で一番のものって?という憧れは抱いていると思うので、これまた、旅にさほど興味がない人でも、楽しめるであろう本。とはいうものの、オイラ、実はこの本も、旅前に読んでいたんですが、その時は、正直ピンとこなかったんですよねぇ・・・とりあげられている場所が知らないところばかりだったので。ということで、この本は、多少世界の各地を知っている人が読んだらより楽しめる本と言ったほうがいいかも。オイラは、世界をある程度知った今になって、もう一度読み返したいなぁって思う本ですもん。
そして、本書<洗面器でヤギごはん>。世界の<食>をモチーフにして書かれているんですが・・・<食>って、実は、すごく保守的な感覚だと思うんですよ。自分が食べなれたものや、食べたことがあることに関する情報には、すごく敏感になれるんだけど、それ以外の食べ物に関しては、そんなに興味が沸かなかったりする。少なくとも、僕には意外とそういう面があるんですよ。なので、実は、この本も、オイラが旅に出る前に刊行されてはいて、本屋で見かけたにもかかわらず、買わなかったし読まなかった。
が、世界に旅に出て、しかも、チャリダーとして走っていたら、いつも考えることは<食べ物>のことになっちゃって。だって、カラダを動かしているから、めっちゃ腹が減るんですもん。さらに、世界に出ると、食べ慣れているものが食べれるワケではない。いや、むしろ、見たこともないものを食べなきゃいけないっていう状況ばかりになる。で、そういう食体験を積み重ねた結果、<世界の味>に俄然興味が沸いてくるわけですよ。保守的だった<食>の感覚が、見事に開放されていったワケなのですよ。
ええ、食に関する感覚の変化ってのも、旅で大きく変えられたことの一つです、ハイ。
そんな風に変化したので、旅中に、石田ゆうすけさんの<洗面器でヤギごはん>が猛烈に気になりはじめたんです。あの石田さんは、どんな思いで、この<世界の味>と向き合っていたんだろうって。
旅をしているとこんな感じで、食に関する感覚は変わっていくと思うので、この本は、旅中に読むべく、携帯して旅立つことをオススメします。
内容は、とにかく、読んで楽しんでください。一つ一つは読みやすくエッセイ風にコンパクトにまとめられているので、気軽に読めます。さらに、一つ一つのエピソードは、<食>をモチーフにしたものなのに、語られていることは<食>を越えて、文化の話だったり、人種差別の問題だったり、人の温かさだったり、旅の冒険話だったりする。で、それらの話が、これまた、憎たらしいほど、心に響く。
なるほどなぁ・・・こういう文章を書ける人が、<旅の語り手>になるんだなぁ、と改めて実感させられたのでした。やっぱり、この人の文章はなんか特別。今や、インターネットで旅ブログとかってたくさんあるじゃないですか。オイラも、情報収集のために読んだりするんだけど、それはあくまで情報収集のためであって、内容まで、思わず読み込んでしまって、心が弾んだっていう文章ってなかなかめぐり合わない。石田さんレベルの文章に巡り合ったのは、ジンバブエで出会ったヒロキくんのブログ<名もなき旅の記録>くらいかなぁ・・・(石田さん同様、オイラの旅に大きく影響を与えたようこ&ひろさんたちのブログは、写真も含めて感銘を受けたんで、またちょっと別格)
さて、そんな石田さんからこの間メールが届いたって話を日記に書いたじゃないですか。その時、ナポリのピザはめっさ美味いって話で盛り上がったんですが・・・オイラ、石田さんがこの本でも絶賛していたナポリの名店<ダ・ミケーレ>には行ってない。で、「もし次、戻って、ダミケーレに行くことがあったら、ぜひレポートください」と、石田さんに言われまして。「ナポリのピザは、それを食うためだけにイタリアを訪れても損はない」とサイトに書いたし・・・この本のP253に書かれている<ナポリのピッツァ>を読んだら、猛烈に、ダ・ミケーレのピッツァを食べたくなっちゃったし・・・う~む、<ダ・ミケーレ>のピザを食べるために、イタリアに戻るってのも、なくはない話だな・・・
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