(English)
I stayed in Cochin.
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昨日は夜に土砂降りの雨が降ったのだが、それで天気の神はスッキリしたのか、今日は朝から雲一つない快晴。暑い。
さて、今日は夕刻から料理教室。習いにいくのは、ロンプラに載っていた<Cook 'n' Eat>というLeeluおばさんが開催している料理教室でして。実はココは、インドでカレーを習うにはどこへ行けばいいんだろうと調べていた時に、最初にひっかかって、早いうちから気になっていた料理教室だったんです。
たぶん美味しいモノが食えるだろうという期待もあり、腹を減らして臨むことに。なんだかんだ言って、空腹が一番の調味料ですから、やっぱり。
さて、夕刻16時半になったので、Leeluおばさん宅へ。オイラが一番乗りで、その後スペイン人カップル、ロシア人カップル、そして、昨日タブラーライブでもご一緒したアメリカ人のおばさんがやってきた。さすが、ロンプラに載っているだけあって、人の集まりがスゴイ。オフシーズンでこんだけ集まるんだから、オンシーズンはどんなことになっているのやら。
ダイニングに椅子が並べられており、そこで座りながら、おばさんの説明を受けたり、そこのテーブルで食材がカットされたりする。で、調理は隣にあるキッチン。つまり、料理のたびに、ダイニングとキッチンを行ったり来たりする、ちょっと変則スタイルの料理教室。しかも、最初はちゃんとオイラたちも行ったり来たりしていたのだが、途中から、おばさんも、キッチンに誘わなくなったし、オイラたちも移動しなくなった。カレーは煮込み料理だから。どうせ火をかけるだけだからね。
ちなみに、今日の料理は、魚カレー、茄子カレー、キャベツと人参のトーレン、ダルカレー、そしてチャパティ。大体味の想像がつくものばかり。しかも、おばさんが用意した食材や手順を見ても、そんなに変わったことをやっていない。なので、出来上がりは、まぁ、いつもと同じようなカレーになるんだろうと思っていたのですが・・・
出来上がったモノを食べてビックリ。いつものものとは、全然味が違う。っていうか、この感動の味は、チェンナイの<サザンスパイス>で食べた味の感覚とほぼ同じだった。
そういえば、サザンスパイスで食べた感動のフィッシュカレーは、ここ、ケララ州がオリジナルの作り方だとシェフは言っていた。
シェフにレシピを聞いた時も、知った食材や手順だったのに、味が全然違っていた。おばさんのカレーもそれと全く同じ。
むむむ、どこに秘密があるんだ?
最初にここに到着して、しばらく一人だったので、おばさんと話をしていて、タミルナドゥ州の料理とケララ州の料理の違いを聞いたところ、食材が違うのよ、ケララの食材の方が、味が豊かなの、と言っていた。食材の味がちょっと劣る分、タミルナドゥ州では、香辛料を多く使うの、と。そうか、だからあっちのほうが、香辛料の香りがある、とか言われるのか、と思ったのを思い出した。
確かに、魚カレーは、味付けもいいのだが、そもそも、身の味が濃厚。茄子カレーも、茄子の味が強烈に出てて、茄子特有のエグミと苦みが、旨みになっている。
でも、この素材の強烈な個性を上手く引き出している何かが、あると思うのだが、その秘密は?と食べ終わった後、おばさんに聞いてみたら、
「それは、私オリジナルのマサラが秘訣なのよ」
と答えてくれた。そう、使っている香辛料自体は、今まで聞いたことがないようなものはなくて、よくあるものを使っていたのだが、茄子カレーでは、それらをブレンドする際に、おばさんが自分で調合したというマサラを入れていた。
実はこのマサラってやつがなかなかわかりづらいものでして。だって、香辛料を加える際、ターメリックとかクミンは、パウダーをそのまま加えるのに、同じく香辛料材料である、シナモンとかクローブは混ぜ合わせてマサラとして加えるんですわ。なぜ、ターメリックやクミンは単体で加えるのに、シナモンやクローブはマサラとして加えるのだ?しかも、最終的にこれらは、全部混ぜ合わさっちゃう。だったら、最初からターメリックやクミンもシナモンやクローブと一緒にして、マサラにしちゃえばいいのに、それはやっていない。
しかも、人によっては、シナモンやクローブもマサラにせず、単体で加えることもある。じゃぁ、マサラにしなくて、全部単体で加えちゃえばいいじゃんとも思うし、実際オイラはそうやってきたのだが、おばさんは「マサラが美味しさの秘訣なのよ」と言う。
実はこれは、香辛料のエイジング効果と関係があるのではないかと。スパイスの本を読んでいて、香辛料は混ぜ合わせてしばらく寝かせることで、個々のスパイスとは違った<ブレンドしたもの>特有の味わいが出るようになる、と書かれてたのを思い出しまして。
そう、全てを単体で加えたり、全てをブレンドしちゃうのと、あるものは単体であるものはブレンドして、というのは、同じ香辛料を使っても、結果的に味が違うモノになってしまうのだ、ってなことを思いまして。
そう考えれば、おばさんがいう「オリジナルのマサラが秘訣なのよ」というのも納得がいく。そして、<サザンスパイス>のシェフからレシピを聞いた時、なぜいつも使っている香辛料と同じなのに、こんな味が出せるんだ、っていう疑問も解ける。
インドにはいろんな種類のマサラがあって、それは売りモノでも違いがあるし、さらに、各家庭では各家庭のマサラがある、なんていうことは聞いていたんだけど、ふ~ん、って感じにしか思っていなかった。しかし、おそらくその<マサラ>を追及して、感動の味を出しているLeeluおばさんのカレーや<サザンスパイス>のカレーを食べて、改めて<マサラ>の重要性を実感できた。
そう、おそらくこのマサラの追及こそが、カレー修行の意味なんだろう。これを突き詰めることによって、感動カレーを作り出すことができるようになるのだ、たぶん。うっし、方向性がようやく見えてきた。まずはおばさんのマサラを基本にして、おばさんの感動カレーを越えるところから始めよう。
いやぁ、一気に見えてきたぞ、カレー道。
さて、作ったカレーを食べた後、おばさんにお礼を言って別れた後、向かったのはケララ・カタカリ・センター。今日は南インドの音楽ライブがあるというので、また見に行くことにしたのだ。両面太鼓とフルートの合奏だった。興奮度からすれば、昨日のタブラーライブの方が高かったが、これはこれで興味深い。
さらに、終わった後、小型太鼓を披露してくれた。これは、西アフリカでいうトーキングドラムと構造的には同じ。
あ~、インド、面白すぎるわ。
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