Rajasthan Curry
引き算のラジャスタンカレー

2015.10.2 / India(Udaipur) 本日 自転車0km走行 : Total 57751km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→サンドイッチ 昼飯→料理教室飯 夕飯→パンジャブタリー / 宿→Rawla Palace Guest House(シングル300ルピー)

(English)
I stayed in Udaipur.



 そろそろ出発せねばとは思っているのだが、グッディおばさんの料理教室で、まだまだ知りたいことを教えてもらえるため、なかなか出れない。今日も、新技を教えてくれるというので楽しみにして、行くことに。まぁ、楽しいんだから、ここは、思いっきり楽しめばいいか。

 さてさて、今日の新技は、ラジャスタンではカリパタと呼ばれているカレーリーブス。スリランカではカラピンチャと呼ばれている山椒系の葉っぱだ。スリランカや南インドでは味の決め手となる大事な香辛料。スリランカ&南インドカレー好きとしては、これがないと物足りなくてしょうがない。そんなカレーリーブスが、ラジャスタンでも使われていると聞いてまして。だが、ウダイプルに来て、しばらくいろんな料理を習ったのだが、どれも全くカリパタが使われていなかった。なんだよ、ラジャスタンでカレーリーブスが使われているってのはデマだったのかよ、と思っていたところ、一昨日、グッディおばさんの台所に見慣れたカレーリーブスが置いてあるのを発見。「ひょっとしてこれがカリパタですか?」と聞いたところ「そうよ」との返事。よくよく聞いてみると、確かにラジャスタンでは、カリパタを使うこともあるのだが、そんなには使わないとのこと。しかし、オイラとしては、ぜひとも、ラジャスタン流にカリパタを使ったカレーを食べてみたい。ということで、お願いして、そのカリパタを使ったカレーを特別に作ってもらうことになったんですわ。

 で、このカリパタカレーの作り方で興味深かったのが、カリパタを入れるカレーには、玉ねぎやニンニクが使われていないということ。実は、インドのカレーでも、玉ねぎやニンニクで味のベースを作ることは多い。が、インドでは(南インドでは)日本でよく言われているように、玉ねぎを飴色になるまで焙煎するようなことは、ほとんどしない。それでも、油をひいた鍋に最初に投入し、しばらく炒めるのは玉ねぎやニンニクだった。スリランカや南インドでも、玉ねぎやニンニクを炒めた後、カレーリーブスを投入するようなことが多かった。

 が、ラジャスタン流はそうではなかったのだ。カリパタを使う時には、玉ねぎやニンニクは使わない。カリパタが十分味を決めてくれるからだ。砂漠地帯であるラジャスタンは、食料が貴重。なので、無駄にスパイスを入れるようなことはしないのだ。最低限のスパイスで美味しさを狙う。そう引き算の使い方なのだ。実は、勉強する身としては、この引き算のやり方は、めっちゃ勉強になる。なんでもたくさん入れてしまう足し算のやり方では、美味しくはなるのだが、どれが味に対して本当に効果があるのか分かりづらくなるのだ。最低限これが必要なのだ、ということが浮かび上がる引き算の料理方法が分かれば、逆に足し算の料理方法は、どうにでもアレンジできる。

 今回使われた香辛料は、まず、マスタードシードとクミンとヒング。それにカリパタが加えられ、最後にターメリックとコリアンダーパウダーとチリパウダーが加えられた。これで十分な美味しさになる。

 逆に、カリパタを使わない場合は、玉ねぎやニンニクで味のベースを作っていかねばならないってことなのだ。で、この玉ねぎで味のベースを作る際、玉ねぎをどれだけ焙煎するかということが、味の違いを大きく左右することになる。

 よく北インドカレーは美味しくないと言われている、という話を聞くのだが、それは、カレーリーブスを使わず、玉ねぎもあまり焙煎しないため、味に芯やコクや旨みがないからなのだ。たまに玉ねぎをちゃんと焙煎してくれる店があるのだが、そういう店のカレーは、ちゃんとコクや旨みがあって美味しい。

 いや、<これらを美味しい>と思う感覚は、日ごろから<旨み>のある食べ物を食べ慣れてしまっている日本人の舌だからこそ。実は、北インドの人たちは、カレーリーブスも使わず、玉ねぎを深く焙煎しないものも<美味しい>と感じて食べているのだ。というか、彼らは、そういう味を<美味しい>と感じているんだと思う。

 カレーを作る時は玉ねぎとニンニクは必須。そして玉ねぎは飴色になるまで炒めないといけないとかいう、いわゆるカレー作りの際にやるべしと言われているやり方は、たくさんあるカレーつくりの一つの方法に過ぎなかったのだ。

 カレーリーブスだけでもいい、玉ねぎは深く焙煎しなくてもいい、そう、そういう作り方のカレーもアリなのだ。

 ただ、どれが美味しいかというのは、個人的な味の好み。北インドのカレーが美味しくないのではなく、日本人的には馴染みにくい味だというだけの話なのだ。

 これまでのカレーの常識が通じるのであれば、わざわざインドに来て現地で学ぶ意味なんてないじゃないですか。そうじゃなくて、こうやって、オイラの中にあったカレーの常識てきなものが、崩されていくのがある意味心地いい。そのためにインドで習っているのだ。
























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