Begining Music
やっとここから音楽が始まる/タブラ修行117日目

2015.12.24 / India(Varanasi) 本日 自転車0km走行 : Total 57751km走行
天気:晴 ネット:1
朝飯→サンドイッチ 昼飯→師匠宅でカレーランチ 夕飯→エッグフライドライス / 宿→Joti Cafe(ダブル300ルピー)

(English)
I stayed in Varanasi.



 朝、10時から宿の部屋で復習練習をした後、11時に師匠宅へ向かう。今日はサンディが練習をしていた。あのくらいの達人になっても、まだ基本練習に余念がない。っていうか、ケシャヴ師匠もいまだに毎朝基本練習は欠かさないらしい。う~む。

 さて、今日はガットカイダNo.3のバリエーション編に進むのかと思いきや・・・「今日から、フィーリングを教える」と師匠。

 そして、ティンタールのベーシックパターンを叩き始めた。最初は叩き方No.1、そして、しばらくして、叩き方No.2へ移った。その後、すぐに、叩いている手の手順はほぼ変わらないのに・・・いきなり、聞こえてくるリズムが変わった。師匠がアクセントをつけて叩き始めたのだ。

 最初の2小節分のダディンディンダは左手を強める。その後3小節目のダディンディンダで3拍目のディンの右手を強める。4小節目のダディンディンダは左右ともに弱める。これで、フレーズのフィーリングが全く違うものになってしまうのだ。

 ふおお、これこれ。これを体得したかったんですよ。音楽的な人とそうでない人の差が一番出るのが、ここ。そう、アクセントを自在に操れるようになることこそが、音楽を奏でられる人になることなのだ。

 アクセントの大事さはドラムを叩いている時から知ってはいた。けど、なんとなくアクセントを入れていただけであって、意識的にコントロールすることはなかった。だから、自分が叩くドラムに、いつまでたっても、音楽的なフィーリングを感じれずにいた。

 それは、ダンスなのかな、って思って、セネガルではダンスを習ったりもした。確かに、それは解決方法とつながっていないことはない。太鼓で、音楽的フィーリングを出すためには、まず、体の動きを自在にできるようになること。そして、次にアクセントを自在にコントロールできるようにすることが、大事だからだ。ダンスでも同じだから、ダンスをやっても気づくことができたかもしれない。

 でも、太鼓なら太鼓で体感するのが一番。トーキングドラムと呼ばれるほど、多彩な音を奏でられるタブラ。リズム楽器でありながら、音楽的フィーリングを奏でるにはもってこいの楽器なのだ。

 最初、タブラの演奏に若干受け入れがたいものがあった。が、それは、アクセントをあまり感じない叩き方をしていた演奏者のCDを聴いちゃったからだったのだ。上手い人の生のタブラ演奏は、これ以上ないってくらい音楽的。

 そして、今日の師匠は、饒舌だった。音楽はフィーリングが何よりも大事なんだと。それはアクセントだけじゃない。音もそうなんだと。タブラ練習用に軽量のミニタブラを買ってたが、それを使うのは旅中に行う手の動きのトレーニングだけにしろ、と。自宅やライブでは必ず、デッカイタブラセットを使え、と。ミニタブラはオモチャにすぎない。あれで、タブラのフィーリングを練習するのは無理だ。フィーリングは、本物のタブラを使うことによってのみ、培われるのだ、と。そして、その培われる感覚を大事にしろ、と。

 音楽とはそういうものなのだ。上手い人が楽器をこだわるのは、フィーリングを大事にするから。楽器ならなんでもいいってもんじゃない。

 タブラは特にセンシティブな楽器でもある。しかもハンドメイドだから、一個一個違う。師匠がめっちゃタブラを持っているのは、フィーリングが違うからだ。プロはそういうところに、こだわる。そして、そういう意味で、タブラは、フィーリングを鍛えるのにいい楽器だと思う。センシティブすぎて扱いづらいが、そのセンシティブさを理解することが、音楽的フィーリングを養うことにもつながるからだ。

 やっと、待望の音楽修行に突入できた。

 こういうことをやりたかった。これがレベル3だったのだ。レベル1のオイラが習得できるものではなかったのだ。それなのに、求めていたことに無理があった。まずレベル2をマスターしなきゃ、挑戦することすらできなかったのだ。

 自分だけで練習しちゃうと、そのことに気づけない。分かっている師匠が、順を追って、導いてくれないと、分からない。いきなりレベル3に挑戦しようとするから、挫折しちゃうのだ。結果的に常にレベル1のままでしかいられなかったのだ。

 レベル3の世界はめっちゃ楽しい。こここそ、やりたかった<音楽>が修練できる場所だ。

 その後、師匠はティンタールの最初の1小節目にフィルイン的なものを入れるバージョンも教えてくれた。こういうちょっとしたおかずを混ぜるころで、リズムに表情がつく。これも、音楽的フィーリング。ま、こういうことは、ドラム練習の時も、実践していたから、これはよく分かるのだが・・・しかし、普通フィルインは、小節の終わりに入れることが多い。頭にフィルインを入れてしまう表情付けは斬新だった。

 いつも、師匠がフレーズを教えてくれたあと、自己練習モードに入って、師匠は一端外へ出て休憩した後、戻ってきて、出来ているかどうかを確認するってのが、レッスンスタイルだったのだが、今日は、1時間みっちりつきっきり。今までは単に手の動きの確認でしかないから、出来ているかどうかを見ればいいだけだった。でも、これからは<音楽を習う>のだから。

 「フィーリングの練習に突入すると、レッスン時間1時間はあっという間になるんだよ」と師匠。

 ええ、確かに。そして、より実りある1時間になりましたよ。習っているって実感します。

 せっかく音楽モードに突入したのに、タブラ修行はあと3週間か・・・ま、3週間、できるだけ師匠のフィーリングを吸収しまくろう。

 それにしても、今までは、1日中タブラを叩きまくる感じだったのだが、フィーリング練習に突入して、一心不乱に叩きまくることはなくなった。以前は引き続き個人練習をしていると、あっという間に16時とかになっていたのだが、今日はまだ14時か、って感じ。これは、練習が楽しくなくなったワケじゃない。レベル3に突入して、心が満足しちゃっているのだ。いかん、ここで、満足なんてしちゃいけない。満足すると、集中力が途切れるからだ。これからが、本番。気合を入れ直してがんばろう。






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